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臼福本店事務所

for 株式会社臼福本店
2020.05 / 宮城

臼福本店は、明治15年(1882年)に魚問屋として宮城県気仙沼市にて創業。三代目から本格的に漁業に参画し、四代目から遠洋マグロ漁船一本に切り替えました。限りある水産資源を絶やすことなく、海と共存しながら次世代へとつなげていくという意味を込めた『海と共に生きる』という言葉をかかげ、臼福本店はさまざまな形で水産資源を守る活動を行っています。

2011年3月11日、東日本大震災により東北の津波被害はとても大きく、気仙沼の臼福本店の旧本宅事務所、旧社屋もまた多大な被害を受けてしまいました。今回のプロジェクトは、社屋を建て直す計画の最中であり、外装のデザインをお願いしたいという五代目臼井壯太朗社長からの直々のご相談でした。

最初に臼井社長からこれからの気仙沼や漁業の未来に対する熱い想いを伺いました。そして、気仙沼の漁業を先導してきた臼福本店の想いを次世代へと継承していくことが最も重要だと考えました。

数少ない資料から、臼福本店旧本宅事務所の外壁は銅板を使用しており、外壁は緑青となっていました。新しい臼福本店の外壁も同じ銅を受け継ぎ、臼福本店が育つように外壁もまた経年変化によって色が変化し、次世代へとつなげていくことをご提案しました。

また、旧本宅事務所の一部分にうろこ型の銅板が使用されていました。 魚の象徴であるうろこのパターンを外装に取り入れることで、臼福本店が漁業の専門会社であることを表現し、遠洋マグロ漁船を営む同社に相応しい佇まいとしました。

ディテールにおいては、船の特徴である丸窓や角が丸くなった手摺などを建築に取り入れました。船を感じる要素を取り入れることで、その建物で働く方が、今も世界中の海で漁をしている乗組員の方々のことを想い、長い遠洋漁業から帰ってきた船員の方々の帰る場所に相応しい場所を作ることを目指しました。

これからの日本の漁業を発展させる臼福本店の新しい船出となったプロジェクトです。



Photographer

Masato Kawano

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